
フェレットはイヌやネコと同じく食肉目の、イタチ科に分類される動物です。明るく社交的、好奇心旺盛でまるで子供のような性格をしています。臭腺除去と避妊・去勢が済んだ「スーパーフェレット」と、生まれてそのままの身体をした「ノーマルフェレット」の2種がいます。各地に繁殖場「ファーム」があり、それぞれ性格や体格が異なる個性的なフェレットが販売されています。
もくじ
フェレットは何科の動物?分類や仲間を紹介
細長い身体と短い脚、長いしっぽが特徴のフェレットは、何科の動物なのでしょうか。ここでは、フェレットの生物学上の分類や、同じ仲間の動物を紹介します。
フェレットはイタチ科の動物
フェレットは、食肉目イヌ亜目イタチ科に属する動物です。野生のヨーロッパケナガイタチを飼い慣らし、改良を重ねた動物がフェレットだといわれています。
フェレットは歴史の古い動物で、紀元前3000年には既に飼育が始まっていたとされています。ペットとして飼育されるのが現在の主なフェレットの姿ですが、かつては狩猟や配管の掃除・配線、毛皮用としても飼育されていた歴史があります。
イタチ科のフェレットは肉食動物に分類される
小さくて愛らしいフェレットですが、生物学上では肉食動物に分類されます。フェレットの祖先はウサギやネズミをとらえて食べる、優秀なハンターでした。
そのため、フェレットはウサギやハムスター、小鳥などの小動物を獲物だと思う傾向にあります。これらの小動物とフェレットを、一緒に飼育することは難しいといえるでしょう。
フェレットの仲間!イタチ科の動物を紹介
フェレットの仲間であるイタチ科の動物には、以下のような種類がいます。
- オコジョ
- テン
- ニホンイタチ
- カワウソ
- ラッコ
- アナグマ
- ミンク
- スカンク
- ラーテル など
フェレットと同じように家庭で飼育できるイタチ科としては、カワウソやスカンクが挙げられます。しかし、この2種はフェレットと違いコンパニオンアニマルとしての歴史が浅く、飼育法もまだ確立されていません。イタチ科の中でもフェレットは、人間の生活に長く寄り添ってきた動物だといえるでしょう。
販売されているフェレット2種類を紹介
フェレットには臭腺除去や避妊・去勢手術が済んでいる「スーパーフェレット」と、全く手術をしていない「ノーマルフェレット」の2種類がいます。ここでは、2種類のフェレットの各特徴を徹底解説します。
ペットショップにいるほとんどは避妊・去勢済みの「スーパーフェレット」
臭腺除去や避妊・去勢手術が済んでいるため、初心者にも飼いやすい種類が「スーパーフェレット」です。一般的にペットショップで流通しているフェレットで、匂いが少なく気性が大人しいのが特徴です。避妊・去勢されているため繁殖はできませんが、オス・メス特有の病気にかかることも少ない傾向にあります。
手術をしていない「ノーマルフェレット」は飼育上級者向け
臭腺除去や避妊・去勢手術を受けていない個体は「ノーマルフェレット」と呼ばれます。ブリーダー以外の繁殖行為は原則禁じられているため、一定のタイミングで避妊・去勢手術は行われます。
ノーマルフェレットは避妊・去勢のタイミングが遅いため、性成熟がしっかり行われたオス・メスの性差がしっかり現れます。成長にともないオスは大きくがっしりした体型に、メスはしなやかで華奢な体つきになります。身体が作られてから手術を受けるため、スーパーフェレットより病気に強く頑丈になるのも特徴です。
ノーマルフェレットの欠点は、希少が荒く体臭がきついことです。臭腺の除去手術も受けていないため、興奮すると臭い分泌液を出す点には特に注意が必要だといえるでしょう。
フェレットの性格は?オス・メスの性格の違いも徹底解説
フェレットの性格はどのようなものなのでしょうか。オス・メスで性格に差があるのかも気になるところです。ここでは、フェレットの基本的な性格を紹介します。
温和で好奇心旺盛なのがフェレットの基本的な性格
基本的なフェレットの性格は、好奇心旺盛で明るく温和です。疲れ果てるまで全力で遊び、電池が切れたように眠る姿はまるで小さな子供のようだと形容されます。
人によくなつき甘えることもあるため、コンパニオンアニマルとしてもフェレットの性格は適しているといえるでしょう。なお、性別やファームごとに、フェレットの性格は微妙に異なります。
フェレットのオス・メスの性格の違いを紹介
フェレットはオスとメスで性格に違いがある動物です。ここでは、フェレットのオス・メスの性格の性差を紹介します。
※なお、フェレットの性格には個体差があるため、性差による性格の差は目安としてご覧ください。
オスはのんびり屋で穏やかな性格
フェレットのオスは、基本的にのんびり屋で穏やかな性格をしています。メスよりも体格は大きいオスですが、争いを好まずまったりのんびりと過ごす傾向が強めです。
猫じゃらしなどのおもちゃは追いかけ回さず、下で待ち構え落ちてくるのを待っているタイプです。とにかく自由気ままでマイペースに過ごす姿には、きっと癒されることでしょう。
飼い主に対し強気な態度にでることも少ないため、フェレットをはじめて飼う人にオスはおすすめです。
メスは活発で気が強い性格
メスはオスと対照的で、気が強くやや神経質な性格であることが多いです。これは、メス特有の子供を守る本能がはたらいているためです。飼い主に対しても子供を扱うかのように、毛繕いをしたり手をくわえて巣へ持ち帰ろうとしたりする行動も見られます。
メスのフェレットは運動量も多く、部屋に放している間はピョンピョンと活発に動き回ります。
オスより身体は一回り小さいですが、動きは非常にアクティブなためそのギャップに驚く方もきっといることでしょう。気が強く活発なメスフェレットは、オスと比較して飼育難易度がやや高めです。
フェレットの代表的な6種のファームとその特徴を紹介
フェレットは出身地「ファーム」ごとに、性格や特徴に差がある動物です。現在日本で流通しているフェレットの代表的なファームは、以下の6種です
- マーシャル
- パスバレー
- ホールデン
- ネザーランドビッグライン
- マウンテンビュー
- アンゴラフェレット
以下では、それぞれのフェレットファームの特徴を徹底解説します。
マーシャルフェレット
温厚でおとなしい性格が特徴の、アメリカ・ニューヨーク生まれのフェレットです。個体情報を登録できるマイクロチップが身体に埋め込まれ、耳には丸い2つの刺青があります。
他のファームのフェレットと比べ親やきょうだいと過ごす時間が長いため、噛み癖が少なく初心者でも飼いやすいです。体格は小柄な子から2kgを超える子までさまざまなため、好みの子を探しやすいのもマーシャルフェレットの魅力だといえるでしょう。
パスバレーフェレット
アメリカ・ペンシルバニアの世界最大のファーム「パスバレー」で生まれる、しっかりした体つきのフェレットです。カラーバリエーションが多く、さまざまな色の中から好みの子を選びやすい傾向にあります。
パスバレーフェレットは、やんちゃでアクティブな性格であることが多いです。運動量も多く盛んに動き回るため、たくさん運動時間を確保し遊んであげましょう。
このファームのフェレットは親と引き離される時期が生後2ヶ月と早いため、噛み癖が強い場合があります。噛み癖がある子にはしっかりとしつけをし、人を噛んではいけないことを教えてあげてください。
ホールデンフェレット
体格がよい大きな子が好みなら、カナダにあるホールデンファームのフェレットを選ぶのがおすすめです。がっしりした大きな身体と耳に入った「H」の刺青が、ホールデンフェレットの特徴です。
ホールデンフェレットには、やんちゃで遊び好きな個体が多いです。噛み癖がある子もいるので、人を本気で噛まないようしっかりとしつけをしてあげましょう。
ネザーランドビッグラインフェレット
黒っぽいカラーのフェレットが好みなら、オランダのファーム「ネザーランドビッグライン」の子を選びましょう。このファームのフェレットには色が濃い毛色が多いため、好みの見た目の子に巡り会えることでしょう。
ネザーランドビッグラインフェレットの性格は、わんぱくで遊び好きです。噛み癖が少ないため、初心者がお迎えするのにも適しています。
オスは特に大きくなるため、大きめのフェレットを飼ってみたい方にもおすすめだといえるでしょう。
マウンテンビューフェレット
細身で小さな体つきの子が好みなら、アメリカ生まれのマウンテンビューフェレットを選ぶのがおすすめです。噛み癖も少なく温厚な性格のため、初心者にも適したフェレットだといえます。
マウンテンビューフェレットは人懐っこく飼い主になつく反面、飼い主以外には人見知りをすることもしばしばあります。人見知りをする性格の個体は来客の際にストレスを感じることもあるため、知らない人に会わせるのは控えましょう。
DRF(ドラゴンライズフェレトリー)フェレット
国内で唯一のフェレットファーム「DRF」から販売されているフェレットです。避妊・去勢が済んでいない状態のノーマルフェレットであり、飼育の際には避妊・去勢を約束する必要があります。
ノーマルフェレットは本能が強く野性味に溢れた性格なので、しつけか難しく初心者が飼うのは難しいといえます。
アンゴラフェレット
アンゴラとはファームの名前ではなく、遺伝子的に毛の長いフェレットのことを指します。アンゴラフェレットを提供するファームには、以下の種類があります。
- 中国:ファーファームアンゴラ
- チェコ:チェコアンゴラ
- アメリカ:ショルダンアンゴラ
アンゴラフェレットは長く美しい毛が特徴の、大柄なフェレットです。希少価値が高く人気もある種類ですが、気性が荒くやんちゃな子が多いためフェレット初心者にはおすすめできません。
フェレットはイタチ科の動物!ファームの種類ごとに特徴・性格は異なる
- フェレットは食肉目イヌ亜目イタチ科の肉食動物
- 仲間にはニホンイタチ・ラッコ・カワウソなどがいる
- フェレットには避妊・去勢と臭腺除去が済んでいる「スーパーフェレット」と生まれたままの姿の「ノーマルフェレット」の2種がいる
- 温和で好奇心旺盛なのがフェレットの基本的な性格
- フェレットはオス・メスで性格が異なる動物
- オスはのんびり屋で穏やか、メスは活発で気が強い性格
- 出身地「ファーム」でフェレットの性格や特徴は大きく異なる
イタチ科の肉食動物であるフェレットは、穏やかで好奇心旺盛な飼いやすい小型のコンパニオンアニマルです。オス・メスの性別や出身ファームにより、性格や特徴に違いがある動物でもあります。
初心者でも飼いやすいフェレットを選ぶには、穏やかな性格のフェレットが多いファームの子をお迎えするのがよいでしょう。特におすすめなのは、ほとんど噛み癖がなく温厚な性格のマーシャルフェレットです。
フェレットの飼育に慣れてきたら、個性的な性格が多いファームからお迎えをするのもよいでしょう。この記事を参考に、ペットショップでご自身の好みに合ったフェレットを探してみてはいかがでしょうか。