ハムスターにほうれん草は要注意!適切な与え方を徹底解説

生のほうれん草には尿路結石のリスクがある「シュウ酸」が多いため、ハムスターに与えてはいけません。ハムスターにほうれん草を与える際には必ずゆで処理を行い、シュウ酸の除去をしてから食べさせるようにしましょう。

ほうれん草には貧血を予防する鉄や、抗酸化作用の高いβカロテン・ビタミンCが含まれます。正しいほうれん草の与え方をこの記事で学び、ハムスターにおやつとしてほうれん草を与えられるようになりましょう。




ハムスターに生のほうれん草は要注意!下処理をしてから食べさせよう

生のほうれん草には、非常に多くのシュウ酸が含まれています。シュウ酸は結晶化しやすい物質であり、大量に摂取すると尿路結石の原因となります。

このシュウ酸には、ゆでるとそのほとんどが消失する性質があります。ハムスターにほうれん草を与える前には、以下の手順でシュウ酸を除去するゆで処理を行いましょう。

 

  1. ほうれん草の泥などを綺麗に流水で洗い落す
  2. 鍋にたっぷりお湯を沸かし、ほうれん草をそのままゆでる
  3. ゆでた後はたっぷりの水が入ったボウルで水さらしをする
  4. 充分にほうれん草が冷え切ったらざるに上げる
  5. キッチンペーパーでしっかりとほうれん草の水を切る




ハムスターにほうれん草を与えると得られる効果4つを紹介

ハムスターにほうれん草を与えると、どんな効果を得られるのでしょうか。ここでは、ほうれん草がハムスターにもたらす健康効果を4つ徹底解説します。

 

①貧血を予防する

ほうれん草は野菜の中でも鉄分が多く、鉄の吸収を助けるビタミンCも豊富です。ハムスターにほうれん草を食べさせれば、貧血を効果的に予防できることは間違いないでしょう。

貧血とは、血中にある赤血球のヘモグロビンが減り、全身に酸素が行き届かなくなった状態のことです。ハムスターは身体が小さいため、ほんの少し出血しただけでも貧血に陥りやすい生き物です。

出血のあるハムスターには、カルシウムの量に気を付けながらほうれん草を与えましょう。この時には、身体を修復するのに役立つタンパク質を多く含む食品を、一緒に与えるのがおすすめです。

 

②抗酸化作用で老化やガンを予防する

βカロテンやビタミンCは、ほうれん草に含まれる抗酸化作用が強い栄養素です。抗酸化作用のある野菜をハムスターが摂取すると、老化の防止やガンの予防ができます。

身体から活性酵素を除去するほうれん草は、ハムスターの細胞を健康的に保ちます。よって、いつまでも元気で長生きしたいシニアのハムスターにも、ほうれん草はおすすめだといえます。

ほうれん草に含まれるカルシウムは、神経を安定させストレスへの抵抗力を高めてくれます。ストレスに敏感な妊娠期・授乳期のハムスターに、ほうれん草を与えるのもよいでしょう。

 

③健康な骨や歯を作る

成長期のハムスターや妊娠期・授乳期のハムスターは、特にカルシウムを多く必要とします。健康的な骨や歯を作るには、ミネラルの一種であるカルシウムを摂るのが効果的です。

ほうれん草には骨の発達を助ける、βカロテンもたくさん含まれます。さらにほうれん草にはカルシウムと共に摂取すると効果的なマンガンも豊富なため、与えれば健康的な骨を作りやすくなります。

よって、ほうれん草は、成長期や妊娠・授乳期のハムスターに積極的に食べさせたい野菜だといえるのです。

 

④水分補給ができる

ほうれん草はその約92%が水分でできている野菜です。水分が少ない乾燥タイプのおやつと違い、ほうれん草を食べるだけで水分補給ができるのです。

あまり水を飲まないハムスターには、おやつにほうれん草を与えましょう。おやつを食べながら水分補給ができるので、脱水を効果的に防げます。

 

ほうれん草に含まれる主な栄養素5つ

ハムスターが食べられるほうれん草には、以下5つの栄養素が多く含まれます。

栄養素名

100gあたりの含有量

2.0mg

βカロテン

4200μg

マンガン

0.32mg

葉酸

210μg

カルシウム

49mg

参照:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

以下では、それぞれの栄養素を徹底解説します。

 

①鉄

鉄は赤血球の材料となる、ハムスターに必須の栄養素です。鉄を摂取すると、ハムスターは以下のような効果を得られます。

  • 貧血を防ぐ
  • 疲労を防止する
  • 動くためのエネルギーを産出する
  • 持久力・筋力を維持する など

鉄は酸素を運搬する赤血球を生み出すため、運動機能とも密接な関わりがある栄養素です。盛んに動き回るハムスターには、疲労感を防止する鉄を積極的に摂取させましょう。

 

②βカロテン

βカロテンは、老化やガンを予防する抗酸化作用の極めて強いビタミンです。疲労・老化の原因である活性酸素を除去し、細胞を若々しく保ってくれます。

元気がなかったり免疫力の弱っているハムスターには、ほうれん草を与えましょう。βカロテン・ビタミンCが持つ抗酸化効果で、健康で若々しい身体をきっと取り戻せます。

βカロテンには粘膜や骨、皮膚を健康に保つ効果もあります。健康的な体を保ちたいハムスターには、積極的にβカロテンを摂取させましょう。

 

③タンパク質

タンパク質は筋肉や皮膚、被毛などありとあらゆる身体の部位を形作るのに必要なハムスターの必須栄養素です。ハムスターは雑食性の動物で、食事の16~19%にタンパク質が必要となります。タンパク質が不足すると、ハムスターには以下の症状が現れます。

  • 栄養失調になる
  • 毛並みが悪くなる
  • 皮膚炎を起こす
  • 筋肉量の低下
  • 血液が生成しにくくなる
  • 産後のメスの子食いが起こる
  • ハムスター同士の共食いが起こる など

ほうれん草には100gあたり2.2gの植物性タンパク質が含まれます。ハムスターはわたしたち人間と違い、動物性よりも植物性タンパク質の吸収が得意な生物です。ほうれん草を与えれば、より効率よくこの栄養素を吸収できることでしょう。

 

④葉酸

強い造血作用をもち、貧血を予防する栄養素です。細胞の再生・生産にもかかわりがあるため、特に妊娠中のハムスターにはたくさん必要になります。

お腹の赤ちゃんをしっかり育てさせたいお母さんハムスターには、ほうれん草を与えるとよいでしょう。ほうれん草には葉酸と同じく、血液の生成に関わる鉄も多く含まれているため、更なる健康効果も期待できます。

 

⑤カルシウム

骨や歯の材料となる、非常に重要度の高いミネラルです。ハムスターの骨形成を直接促すため、骨が弱かったり成長期を迎えたりしているハムスターにはしっかりカルシウムを摂取させましょう。

また、カルシウムには神経の興奮を抑える作用もあります。妊娠・授乳期の、精神が安定しないハムスターにもぜひカルシウムを摂取させましょう。

カルシウムの摂取によりストレスを緩和できるため、ストレスによる子食いのリスクを軽減できます。

 

ハムスターにほうれん草を与える際の注意点3つを紹介

ハムスターにほうれん草を与える際には、いくつかの注意点があります。ここでは、ハムスターへほうれん草を給餌する際に気を付けたいことを3つ、分かりやすく解説します。

 

①1回にあげる量は1〜2g程度にとどめよう!

シュウ酸の含有量が多いほうれん草は、ハムスターにたくさん与えるには適しません。与える量は1回1~2gの微少量にとどめ、頻度も数週間〜月に1回程度に抑えてください。

給餌の際には生では絶対に与えず、必ずゆで処理をしてからハムスターにほうれん草を食べさせましょう。生で与えると、シュウ酸がハムスターの健康を害する恐れがあります。

与える際にはハムスターが食べやすいよう、ほうれん草を5mm~1cmほどの角切りにしましょう。




②尿路疾患のハムスターにほうれん草はダメ!尿路結石のリスクがある

ほうれん草に含まれるシュウ酸・カルシウムは両方とも結晶化のリスクがある栄養素であり、結石を助長する恐れが極めて高いです。

リスクを避けるためにも尿路疾患を抱えるハムスターにはほうれん草を与えず、他の葉物野菜を与えるようにしましょう。

なお、ほうれん草を食べさせているハムスターに以下のような症状が見られたら尿路結石にかかっている可能性があります。

  • 血尿
  • オレンジ色の尿
  • 体重の減少
  • お腹を触ると痛がる
  • 貧血
  • オシッコが出なくなる
  • 失禁する など

尿路結石が重篤化すると、ハムスターは手術を必要とする場合もあります。もしほうれん草を与えているハムスターに異常が見られたら、すぐに野菜を与えるのを中止し動物病院へ連れていきましょう。

 

③水分が多いため与える際には下痢に要注意

ほうれん草は約92%が水分のため、水をたくさん飲むハムスターに与えると下痢を起こす危険性があります。与える際には必ずハムスターの様子を見ながら食べさせ、フンの状態を観察してください。

ほうれん草が合うかは、その子の体質により異なります。下痢気味の状態が続く場合はハムスターにほうれん草を与える量を減らすか、与えないようにしましょう。

 

ハムスターの体に良いほうれん草を与えてみよう

ほうれん草をハムスターに与えると、以下のような健康効果があります。

栄養素名

効果

・赤血球の元になる栄養素

・貧血を予防する

βカロテン

・抗酸化作用で老化やガンを予防する

・粘膜や骨、皮膚などを健康に保つ

マンガン

・カルシウムの効果を促進する

葉酸

・貧血を予防する

・細胞の再生や生産を助ける

カルシウム

・筋肉の収縮やホルモン分泌を助ける

・血液や脳などを健康的に保つ

・細胞の分裂や分化を助ける

・神経の興奮を抑え心を穏やかにする

・怪我をしたときに血液を凝固させる力を強める

貧血予防や骨の生成に効果的なほうれん草は、ハムスターに与えるのがおすすめの野菜です。カルシウムの摂取量やシュウ酸に気を付けながら、あなたもぜひハムスターにおいしいほうれん草を与えてみましょう。

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