
モルモットは見た目がネズミやハムスターに似てますが、実際は何科なのか気になりませんか?近年は見た目の可愛さから家庭用ペットとして親しまれていますが、人間との関わりは南米から始まっています。この記事ではモルモットは何科に属するか、生息地や生態について見ていきます。
もくじ
モルモットはテンジクネズミ科の仲間だった!
モルモットの原種は、南米の山岳地帯に生息しているテンジクネズミです。テンジクネズミとはテンジクネズミ科を総称する齧歯類で、モルモットもその仲間です。見た目も今のモルモットとよく似ています。
古代インディオで食用として飼育されていたのが始まりで、16世紀にスペイン人によってヨーロッパに伝わりました。実験動物として使われていたのはその頃からです。
現在の「モルモット」と呼ばれるようになったのは、1843年に日本に持ち込んだオランダ人がマーモットと勘違いしたことから由来している説があります。ちなみにマーモットはリス科の齧歯類で別の動物です。
モルモットの生息地や生態を徹底解説
次はモルモットの生息地や生態を見ていきましょう!
生息地は?
モルモットはペルー南部、ボリビア南部、アルゼンチン北部、チリ北部に集中して生息しています。アンデスの乾燥した高地に巣穴を作って生活しています。
生態は?
特徴
前足4本、後ろ足3本の指を持っています。頭は体より大きく、胴長短足です。尻尾はありません。しかし、体内にはしっぽの骨があります。
生まれる前には既に乳歯を持っているが、切歯は出産時に吸収されてなくなります。永久歯は生後40日で生え変わり、全部で20本になります。生涯伸び続けているので、食事によって摩耗しています。
モルモットの消化器官の造りは実に独特で、腸の半分は盲腸で占められています。モルモットの必要な栄養は食物繊維で、盲腸内の微生物が消化を行なっています。
ビタミンCは体内で生成できないので、餌から摂取する必要があります。
性格
モルモットは穏やかで好奇心旺盛です。一方で捕食される側なので警戒心が強く、ちょっとした物音でもびっくりします。危険を感じるとケージの隅で仲間と身を寄せ合っている姿が見られます。また、環境変化に弱く、餌を食べなくなる場合もあります。ストレスに敏感で消化不良を起こすこともあるので、実に神経質な一面を持っています。
習性
夜行性で昼間はほとんど寝ています。夕方になると活動を始め、食べ物を求めて移動します。集団性の生き物で5〜10匹で行動しています。また、モルモットは寂しがりやな面があるため、スイスの動物保護条例で「最低2匹で構成されるグループで飼育しなければならない」と定められているほどです。
食事
モルモットは完全草食動物で牧草、種子、ペレット、果物を食べています。最も必要としている栄養分は繊維質で、腸内で消化された栄養が一度盲腸便をして排出され、食糞することで栄養を取っています。
鳴き声
モルモットは感情豊かで多種多様な鳴き声で表現します。
嬉しい時は「キューキュー」、甘えたい時は「プイプイ」、威嚇している時は「キーキー」、警戒している時は「グルルルル」、びっくりした時は「キャン」、痛い時は「ピーピー」。その時の感情によって鳴き声が違ってきます。
ポップコーンジャンプ
ポップコーンジャンプは若いモルモットに良く見られる行動で、嬉しいときに体をひねってジャンプすることです。ポップコーンがフライパンの上で跳ねる様子に似ていることから呼ばれています。また、怒っている時、何かを要求している時もポップコーンジャンプを見せることがあります。このジャンプは生後1年過ぎれば、次第に減っていきます。
寿命
寿命は5〜7年ですが、飼育環境によって10年長生きするモルモットもいます。
発情
モルモットが性成熟するのはオスが生後3~5週、メスが4~6週です。モルモットは一年中発情します。メスは15~17日サイクルで発情し、10時間後くらいに排卵します。オスを受け入れるのは24~48時間です。この時のメスの生殖器は赤くなっています。
オスは発情したメスを見ると「グルルルル~」と低い声で鳴き、メスのお尻の匂いを嗅いで後ろから覆いかぶさるように交尾を始めます。この時のメスは背中を弓なりに反らせる受け入れ態勢を取っています。この行動をロードシス反応と呼んでいます。
妊娠
交尾を終えた60~72日間の妊娠期間を過ごしますが、胎児の数によって妊娠期間が異なってきます。胎児の数が多ければ短くなり、少なければ長くなります。胎児が少ない場合は出産までに大きくなり、難産になるケースがあります。
妊娠中のメスのお腹は固く、触れると胎児がいることがわかります。妊娠50日頃に触ると胎児が動いていることがあります。
また、モルモットの妊娠適齢期は6~9か月目です。この期間が初産のチャンスと言われています。妊娠適齢期を過ぎると骨盤と恥骨がくっつき始めて、産道がせまくなるので難産になります。
出産
陣痛が始まると、産道が開き48時間以内に出産が始まります。この時モルモットは陣痛の痛みによって、くるくる回ったり、身をよじります。
モルモットの種類
モルモットも犬や猫のように長きにわたって、品種改良されてきて種類も増えてきています。
・イングリッシュ
・アビシニアン
・シェルティ
・クレステッド
・テディ
・レックス
・テッセル
・スキニーギニアピッグ
・ぺルビアン
・コロネット
・メリノ
・アルパカモルモット
イングリッシュ
16世紀から300年かけて品種改良してきた種類です。毛が短いのでアメリカンモルモット、ショートモルモットと呼ばれています。小太りですんぐりむっくりしているところがチャームポイントです。甘えん坊で人懐っこい性格です。毛色はブラック、ブラウン、ベージュがあります。
アビシニアン
身体のあちこちにつむじがあり、短毛種よりも4~5㎝ほど長い中間種のモルモットです。「巻き毛モルモット」と呼ばれており、寝ぐせのように毛が逆立っているのが特徴です。アビシニアンのルーツは不明ですが、1860年時点でイギリスで存在が確認されています。ノーマルとサテンの毛質のモルモットがいます。
シェルティ
滑らかな毛質の長毛種で、上品な姿から「フランスモルモット」と呼ばれています。臆病ですが、時間が経てば慣れてくれます。毛色はブラック、ホワイト、ブラウン、グレーでカラーバリエーションは豊富です。
クレステッド
頭につむじがあるのが特徴で、それ以外は短毛のモルモットでイングリッシュを改良した品種です。アメリカンクレステッドと、イングリッシュクレステッドに大きく分かれます。アメリカンクレステッドは頭部のつむじだけがホワイトで、それ以外はホワイトです。比較的臆病ですが、長い目で接していくと慣れてくれます。
テディ
全体的に巻き毛で短毛種と中毛種の個体がいます。1971年ごろに突然変異で生まれた品種です。アビシニアン系とアメリカン系に分かれます。アビシニアン系は硬い毛、アメリカン系は柔らかい毛を持っています。テディベアのような巻き毛を持つことから由来しています。
レックス
見た目はテディに似ていますが、テディより巻き毛が多いのが特徴です。他のモルモットと同じく臆病ですが、時間をかけていけば慣れてくれます。
テッセル
1980年代にレックスとシェルティを交配させて生まれた品種で、ぬいぐるみのような縮れ毛が特徴的です。テッセルは頭の毛は短く、体の毛は長くなっています。カラーバリエーションもオレンジ、ホワイト、ブラウンがあります。
スキニーギニアピッグ
体毛がほどんどない品種で、ぜんそくやアレルギーのある人でも飼いやすいことで人気があります。ミニブタのような外見が可愛らしいです。寒さに弱いので、温度管理に配慮する必要があります。食事は良く食べて、排泄量も多いです。モルモットの中では感情が豊かで、コミュニケーションを良く取ります。
ぺルビアン
頭部につむじがあり、頭部と背中の毛が長いのが特徴で直毛と巻き毛の2タイプがいます。毛質やしなやかで柔らかいです。ブラッシングなどの手入れが大変で、カットも必要です。
コロネット
アメリカでシェルティーをベースに作られた品種です。頭につむじがあり、全身の毛が長いです。日本ではお目にかかれないので、性格はあまり知られていません。
メリノ
頭につむじがあり、長毛の巻き毛の品種です。こちらも日本ではあまり知られていません。
アルパカモルモット
イギリスでぺルビアンとテッセルのミックスとして作られた交配種です。
長毛の巻き毛で、全体的につむじがあります。こちらも日本ではまだ出回っていません。
まとめ
モルモットのルーツは南米で最初は古代インディオの食用として扱われていました。そしてよく実験動物として使われていますが、現在はペットとして親しまれるようになってきました。カラーバリエーションも豊富で中には犬のような見た目のモルモットもいるのが印象的です。
また、鳴き声も色々あって、コミュニケーションが楽しくなりそうですね。
・テンジクネズミの仲間
・前足4本、後ろ足3本
・頭は大きく、胴長短足
・伸び続ける歯
・生息地:ぺルー南部、ボリビア南部、アルゼンチン北部、チリ北部
・好奇心旺盛で穏やか、一方で警戒心が強い
・完全草食動物で主食は牧草
・体内でびたみんCを生成できない
・食糞
・夜行性
・集団性
・多種多様な鳴き声で感情を表現
・ポップコーンジャンプ
・寿命:5~7年
・性成熟:オスが生後3~5週、メスが4~6週メスの発情期サイクルは15~19日。
・妊娠期間:60~72日
・陣痛が始まると48時間以内で出産
モルモットの種類
・イングリッシュ
・アビシニアン
・シェルティ
・クレステッド
・テディ
・レックス
・テッセル
・スキニーギニアピッグ
・ぺルビアン
・コロネット
・メリノ
・アルパカモルモット